息子が２１歳の誕生日を
むかえたときの話。
彼女が手づくりのケーキを
持って来てくれた。

あんなに手こずった
育児ではあったが
昔々「もし彼女ができたら私…
どんな気持ちになるんやろ。
淋しいと感じるんかな。
取られた感じになるんかな」

などなど想像して
「そんなんになって情緒不安定
になったらどうしよう」
と気持ちがドヨン
としていた時期があった。

でも、そんな悩みは
取り越し苦労に終わる。
彼女ができたことで
息子が温和になったように
私には感じられ
逆に気持ちが救われたのだ。

それまでは
息子の立ち居振る舞いが
不機嫌な感じに受け取られ
その雑に感じられる行動
一つひとつが「母親の私」
にぶつけられているように
思えてしかたなかった。

母としての自分が
責められているように感じられ
息子といるだけで
とてもしんどかった。
この思いは最近まで
続いていた思いだ。
今もそのとらわれから
抜け出したとは言えないが
でもずいぶんマシになった。

家族以外の人間に
大切に思ってもらえることは
いろいろな幸せを
運んでくるのだなぁ。
思ってもらって私も幸せ。

でもそれは、ようやく
母親としての役割に
大きな区切りがつくことに
肩の荷が下りる気持ちになっている
私がいるだけなのかもだが。