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6年目の6月8日

* はじめに *

このつぶやきは
ご本人の承諾を得て記していることを
お伝えいたします。

+ + + + + + + + + + + 

9:30、池田駅で
友人と待ち合わせをし
大阪教育大学付属池田小学校に向かった。
私にとっては
今年で3回目の献花となる。

6年前の6月8日
付属池田小学校に男が乱入し
児童8名の命を奪った。
今年の6月8日は
6年前と同じ金曜日にあたる。

5月の末、友人といっしょに
ある方のお宅におじゃまをした。
その方とは、この事件で
かけがえのない娘さんの命を
奪われてしまったご遺族である。

私が彼女と知り合ったのは4年前。
友人が私の本を渡してくれたことが
きっかけでご縁を頂いた。
それ以降、彼女は私の大切な
友人の一人となった。

お宅におじゃまするのは
この日がはじめて。
ずっとご仏壇に手を合わせたいと
と願っていたのだが
それがやっと叶った日だった。

本当は3人でお昼を頂ければと
考えていたが
彼女の調子がとても悪く
家から出られる状態ではなかった。
でもお宅にはおじゃましてもいい
との連絡が入っていたので
伺わせて頂いた。

久しぶりの再会。
玄関で出迎えてくれた彼女は
よりきゃしゃになっていて
痛々しいほど疲れ切っていた。

ご仏壇に手を合わせ
娘さんに「はじめまして」
のごあいさつをさせて頂く。
その後、彼女がポツポツと語った。

学校では毎年
事件で亡くなった児童を悼み
「祈りと誓いの集い」という
追悼式を開いている。
その追悼式が今年はじめて
屋外でされることに決まったという。

屋外にズラリと並べられるイス。
そこに児童、遺族等が座り
式が進められる。
しかし彼女は、その場所を
指さしながら私たちにこう言った。
「ここに子どもたちが倒れていたのよ」

子どもたちが
横たわっていた場所に座り
追悼式が行われる…。
その現実が彼女を過去へ
引き戻すきっかけとなった。
その日の光景が
彼女の苦しみを生んでいた。

追悼式に参列したいと
ココロから願っているのは彼女なのに
参列できない彼女がいる。
母親だから、行ってあげないと
という声もあるだろう。
でも、そうじゃないんだ。
母親だからこそ、行けないんだ。

他にも信じがたい話はまだある。
「人」とはなんなんだろう
理解に苦しむ。
「社会」とはなんなんだろう
非情すぎる。

友人が彼女に問うた。
「今、1番伝えたいことは何?」
その問いに彼女は答えた。
「苦しみ悲しみが、消えることは
ないってことかな」
そして両手を広げながら
「苦しみは八の字状に広がっていくの。
二次被害、三次被害を受け
どんどん新たな問題が増えていくんだぁ」
と言った。

彼女の現実は
私の思考をはるかに超え
「人間はそんな風に考えるのか」
と毎回、その複雑さと深さを痛感する。

リビングの窓際に
サボテンが育てられている。
そのサボテンは娘さんが種から
育てたサボテンで
娘さんが亡くなってからは
家族が育てているものだ。
細いところに太いところ
そのクネクネボコボコとした姿に
6年という時間が刻まれている。

そのサボテンをジーッと
眺めていると1匹のアリが
いるのに気がついた。
「アリがいてるよ」と私がいうと
彼女はそのアリを手でそっと包み
ベランダに離した。
その姿をみて
彼女の「命」に対する
強さが伝わってきた。

彼女は結局
参列できなかったのかなぁ。
参列できたのかなぁ。
どちらにしても
辛く苦しかったことだけには
まちがいないと思う。

この事件を風化させてないため
彼女はつぶやきに書くことを
承諾してくれた。
その気持ちを受け止めたいと思う。
そして、その気持ちをつぶやきを
読んでくださっている方に
受け止めてほしいとココロから願う。